今回は、革財布の汚れの落とし方を以下の6つの場合に分けて紹介します。
くわえて「最低限必要なアイテム」「革財布を傷める手入れ方法」もご紹介します。
本革の財布は動物の皮なので、繊維に手垢や皮脂が染み込んで“黒ずみ”といった汚れがつきやすい素材。あなたの大切な革財布を長持ちさせるためにも、本ページで汚れの手入れ方法を知っておきましょう。
東京革財布
運営者
20代前半に土屋鞄製造所の革財布を購入し、革の魅力に目覚める。その後、WEBメディア事業主軸の会社に入社し、ライターからWEBディレクターまでを経験。革製品の魅力を広く伝えたいという気持ちが強くなり、2019年に独立して『東京革財布』を開設。これまで土屋鞄製造所、GANZO、CYPRIS、Hallelujah、SYRINXなど40種以上の財布・革製品を使用。豊富なレビュー経験とライタースキルを活かし、長く愛用してもらえる革製品と出会えるサイトづくりに努めている。
革財布の汚れ落としで必要なアイテム
汚れの種類にもよりますが、革財布の汚れ落としに必要なアイテムの一覧がこちら。
※後述で汚れの種類別に必要なアイテムを紹介しています。
アルコールや酢をつかった簡単な方法も他サイトでは紹介していますが、素人が代用品で行うと本革を傷める可能性があります。
そのため今回は初心者の方でも「安全かつ綺麗に汚れを落とせる方法」を紹介してます。
「革専用消しゴム」を持っておくと便利
革財布のケアアイテムには前述でお伝えした「革専用消しゴム」があります。
文房具の消しゴムと違い革製品の汚れを落とすことに特化した消しゴムで、次のような革財布の汚れ落としに効果的です。
洗剤やアルコール液を使わず汚れを落とせるのでシミにならず、デリケートな天然レザーの汚れもやさしく落とせます。
消しゴムの原料自体は「合成ゴム」なので通常の消しゴムに近い質感ですが、革財布へのダメージを抑えるなら革用消しゴムを使うのがベスト。革用消しゴムで汚れを落とした後は、念の為レザークリームでケアしてあげると革を保護できます。
特に本革の風合いを生かした天然素材の革財布を使っている方は、シミができない革用消しゴムを持っておくと便利でしょう。
革財布の汚れの落とし方6選
冒頭でお伝えした通り、今回は以下の6パターンに分けて革財布の汚れ落としの方法をお伝えしていきます。
①手垢・皮脂による黒ずみ汚れ
革財布を使い続けていくと、皮脂が革表面に染み込んでよく手に触れる部分だけ黒ずんできます。特にベージュやブラウン系といった色が薄く、余計な加工を施していない本革財布につきやすい汚れです。
手垢・皮脂の汚れは革財布につきやすい汚れですが、以下の方法で汚れを馴染ませられます。
皮脂汚れは基本的に「レザークリーナー」「レザークリーム」があれば落ちます。どちらも似ていますが、以下のような役割があります。
- レザークリーナー(ソープ):本革の汚れを落とす
- レザークリーム:本革に潤いと栄養を与える
クリーナがシャンプーで、レザークリームがコンディショナーのイメージです。
まずクリーナーな表面汚れを落とした後にクリームを浸透させることで黒ずみが馴染み、革財布の色に深みが生まれて経年変化を楽しめるんですね。
もともと革財布は皮脂が染み込むことで、色合いなどの経年変化が進んでいきます。皮脂による黒ずみもエイジングの証ですが、一部分だけ汚れが目立つならクリーナーとクリームでメンテナンスしてあげましょう。
クリーナーやレザークリームで月に一回でも手入れしてあげれば汚れがつきにくくなるので、この2つは持っておいて損はありません。
②カード擦れによる黒ずみ汚れ
カードの収納部分の黒ずみ汚れは、カードのボールペンによるサインが色移りして黒ずんでいる可能性が高いです。
革表面にボールペンのインクが付着している状態なので、以下の方法でインク汚れを落としてみてください。
【準備するもの】
- 革専用消しゴム
- レザーソープ(クリーナー)
- レザークリーム
- クロス(不要な柔らかい布でもOK)
【汚れ落としの手順】
- 柔らかい布で革財布表面のホコリを落とす
- 革専用消しゴムの角で黒ずみ部分を擦る
- 消しカスを払う
- レザークリーナーを布に適量取り、革財布に塗布する
- クリーナーが乾いたら、レザークリームを布で塗布して革に水分と油分を与える
※クリームでベタついていたら乾拭き - クリームが乾いたら完了
インクの色移りによる黒ずみはレザークリーナーだけでは落ちにくいです。クリーナーを使う前に「革用消しゴム」で表面の目立った汚れを落としておくと、革財布がキレイになりやすいです。
もし革用消しゴムで黒ずみが落ちたら、レザークリーナーによる汚れ落としは省いてOK。汚れ落としによる革にへのダメージを保護するためにも、最後にレザークリームで保湿してあげましょう。
③水濡れによるシミ汚れ
雨などによる水濡れのシミは、レザークリームを塗り込むとあっさり解消されます。
革財布の水シミ汚れは、革内部の水分バランスが崩れて濡れた部分の色が濃くなっている状態。つまりレザークリームで潤いと油分を補給してあげることで、革全体にシミが馴染んで目立たなくなるというわけです。
時間が経ってクリームでもシミが落ちないときは、あえてシミ部分を濡れたタオルで濡らすのもあり。シミ周辺を濡らして水分バランスをもう一度崩すことで、シミを馴染ませやすくなります。
詳しい水濡れのシミ落としは、下記ページを参照ください。
④小銭入れ内部の硬貨による汚れ
小銭入れの中は手垢・皮脂のついた硬貨や鉄粉によって黒い汚れがつきやすいです。
しかし硬貨についた手垢や鉄粉が革表面に付着している状態なので、クリーナーで拭き取ることで汚れを落とせます。
小銭入れ内部の効果による黒ずみ汚れは、上記の方法で落とせます。
しかし小銭入れ内部の“白い汚れ”はクリーナーでは落ちない可能性があります。
というのも小銭入れ内部の白い汚れは、硬貨で革が傷ついたり色が剥げたりした跡。汚れではないのでクリーナーでは対処できません。
レザークリームを塗り込んでいくうちに目立たなくなるので、定期的にクリームケアしてみるといいでしょう。
⑤ボールペンによるインク汚れ
引用:GANZO公式サイト
クリーナーでは除去が難しいボールペンなどのインク汚れですが、革用消しゴムでインク部分を擦ることで汚れを落とせます。
シワ感のある革財布だと消しゴムがインク部分に届きにくいので、生地裏から指で押し込むことでインクを除去しやすくなります。
そして革財布の表面を消しゴムで強く擦ると、クリームを塗布したときにシミが残りやすくなるので注意してください。汚れ具合を見ながらやさしく消しゴムで擦っていきましょう。
ボールペンで溝ができた場合は自力で回復させるのは難しいので、革専門の修理店に持っていくことをお勧めします。
⑥カビによる革財布の汚れ
革財布は水分や油分を含んでいるので、カビが出来やすい環境です。
カビの汚れ落としはデリケートな作業になるので、革財布の様子を見ながら行なってください。
布でカビ汚れを拭き取る際は、ゴシゴシ擦るのではなく「染み抜き」のようにポンポンとやさしく拭き取ってください。布で皮革表面を擦ると、革を傷める原因です。
またレザークリームはカビの栄養源になりやすいでの、カビ落としの際は使わないようにしましょう。
ガンコ汚れは「革専門クリーニング業者」がおすすめ
セルフケアが難しい革財布のガンコな汚れは、プロによるクリーニングでスッキリ落とせます。革専門のクリーニング店は『リナビス』がおすすめ。
リナビスのポイント
- 宅配依頼で家から出ることなくクリーニングを頼める
- 送料無料でクリーニング依頼OK
- 〈シミ汚れ・キズ・破れ・色落ち〉まで幅広くメンテナンス対応
- 最新のクリーニング技術で形状変化や硬化になりにくい
リナビスは、創業60年の歴史ある老舗クリーニング店。宅配専用のクリーニング業者なので、自宅の近くに革専門クリーニング店がなくても汚れを落とせます。
またリナビスではクリーニングだけでなく、キズや擦れの修正、色補正まで対応。「この汚れはもうダメかも…」と諦める前に一度相談してみてください。
◎往復の送料無料
◎クリーニング不可製品でも95%が取扱可能
革財布を傷める汚れの落とし方
以下3つの汚れの落とし方は、革財布の色落ちや風合いの低下を招くのでおすすめできません。
本革の専門的な知識がない方は、上記のような方法による革財布の手入れは避けてください。
①革財布をアルコール消毒液で拭く
はじめにもお伝えした通り、アルコール消毒液で革財布の汚れを落とすのは革を傷める原因。というのもアルコール消毒液は油を溶かす性質があるので、本革の乾燥を促してしまいます。
Q2.アルコールはどんな性質ですか?
油をよく溶かします。
(引用:経済産業省 中部経済産業局)
またアルコール消毒液は、蒸発にする際に水分を瞬間的に奪うことで雑菌を除菌します。
このような性質や殺菌の仕組みから、以下のような革財布への影響が考えられます。
アルコールは汚れ落としに効果的ですが、革財布に用いるなら先ほどのカビ取りのように部分的に少量だけ塗布するようにしましょう。
②タワシをブラシ代わりにして擦る
革財布にレザークリームを塗り込んだ後にブラッシングするとクリームが馴染みやすく、汚れ落としにも効果的です。
しかし革用ブラシの代わりに「たわし」を使うのはNG。たわしはレザーブラシよりも硬いので、革財布の表面を削って傷めてしまいます。
革財布のメンテナンスで用いるブラシは「豚毛ブラシ」が主流。豚毛はほどよいコシがあるので、クリームを馴染ませるのに適しており本革にツヤが生まれます。
馬毛ブラシもありますが、馬毛は柔らかい毛質なのでゴミやホコリ落とし向きです。ブラッシングで革財布の艶出しもしたい方は、タワシでなくレザー向きの「豚毛ブラシ」を使ってください。
③革財布を丸洗いする
革専門のクリーニング業者などでは、革製品を丸洗いして汚れを落とすこともあります。
しかし元々革は水に弱い素材なので、素人の方が革財布を丸洗いして汚れを落とすのはリスクが高いです。
皮革の製造会社でも「家庭で革製品を水洗いしない方がいい」と喚起されています。
水洗いは一概に否定はできないが、色落ち、型くずれ、風合いの低下などが起こりやすいので、家庭では避けた方が無難です。
(出典:シンヤ工業所)
このように革財布を水洗いすると、以下のようなトラブルを引き起こしかねません。
水洗いするほどの頑固な汚れなら、専門業者に預けてプロに汚れを落としてもらうのが得策です。
定期的な革財布の手入れで汚れ防止になる
上述で少しお伝えしましたが定期的に革財布を手入れしてあげれば、汚れや水濡れによるシミが付きにくくなります。
革財布に手垢・皮脂による黒ずみや、シミが出来やすいのは革の乾燥が原因の一つ。乾いた土は水を吸いやすいように、皮革が乾燥していると水分・皮脂を吸いやすくなります。
月に1回のメンテナンスでレザークリームを塗り込むことで、革財布に油分が補給され余計な水分を弾きやすくなるんですね。
また染み込んだ皮脂も馴染ませることができるので、自然な風合いの変化が生まれます。
本革財布を手にされている方はこの機会に手入れを始めて、自分だけの革財布に育ててみてはどうでしょうか。
まとめ:正しい汚れ落としで革財布を綺麗に保つ
革財布をはじめて手にした時に財布に汚れがつくと焦りますが、本革素材でも手入れ次第で汚れを落とせます。
革は丈夫な素材ですが、汚れやシミがつきやすいデリケートな素材。定期的な手入れが必要になってくるので、以下の2アイテムは最低限もっておいて損はありません。
そしてアルコール消毒液や丸洗いは革財布の汚れ落としに効果的ですが、専門的な知識がないと革財布を傷めるだけ。どうしても革財布の汚れが落ちない時は、専門のクリーニング業者にお願いしましょう。
当ページで革財布の正しい汚れ落としの方法を試して、あなたの大切な革財布と長くキレイに付き合っていきましょう。