「革のダイヤモンド」「キングオブレザー」とも称されるコードバン。
当サイトの筆者もコードバン二つ折り財布を愛用していますが、以下のような魅力から一度手に触れてほしいと感じるスムースレザー(※)です。 ※スムースレザーとは、革の表面を滑らかに加工したレザーです。
- 上品な光沢感と表情がある
- 経年変化でツヤに渋みが増す
- 牛革より型崩れしにくい
当記事では上記のようなコードバン財布の魅力だけでなく、実際に使って感じた注意点も併せて解説。 長く付き合っていくためにも、コードバンの特性を熟知しておきましょう。
またコードバンの手入れ方法も紹介しているので、すでにお持ちの方も長く使い続けるために一読してみてください。
コードバンの原材料とは?
革財布で人気を誇るコードバンは「馬のお尻」から採取できる皮。
コードバンとして加工できる馬のお尻の皮は、馬全体の2割ほどの面積しかありません。 しかも全ての馬から採れるわけではなく、原皮が採れるのは“農耕馬”だけ。
このようにコードバンは少量しか採れないので、希少性が極めて高い革です。
また希少な材料であることや滑らかで美し質感、高い硬度を持っていることから「革のダイヤモンド」とも比喩されています。 ※質感や耐久性は後述で詳しく解説しています。
そもそもコードバンは「コラーゲン質の繊維層」。 皮のコラーゲンが高密度に凝縮しているので、しっとりと滑らかな質感を生み出しています。
このコラーゲンの層は、農耕馬が他の動物に襲われても重症にならないために身を守る皮の層。
そのため競走馬からは、コラーゲン層(コードバン)がほとんど採れないというわけです。
【他の材料との違い】革に表と裏がない
一般的に牛革や豚革などは、
- 銀面(表面)
- 床面(裏面)
このように2層構造になっています。
しかしコードバンには表と裏がありません。
というのも前述したコラーゲン層は表皮と裏皮に挟まれており、その中間層だけを丁寧に取り出したのがコードバンです。
コラーゲン層だけの“単層構造”なので、長財布や二つ折り財布に使用しても型崩れなどの歪みを起こしにくい特性があります。
そしてコードバンは皮膚の中間層を取り出したものなので、1〜2mmほどの厚みしかありません。 2mm程度の層を削り出す作業が「宝石発掘」のようであることも、コードバンがダイヤモンドと称される由縁です。
筆者がコードバン小物を愛用する3つの理由・特徴
冒頭でも触れたように、僕はコードバンの二つ折り財布をメインで普段使っています。
ここからは実際に使っている僕の感想を交えて、コードバンの特徴をご紹介。 以下の3つの魅力に惹かれて、僕はコードバン財布を愛用しています。
- 美しい光沢感と上品な表情がある
- エイジングでしなやかな質感に仕上がる
- 頑丈で硬くずれしにくい
【特徴①】美しい光沢感と上品な表情がある
コードバンは全ての革の中でも群を抜いて、上品ながらも革らしいツヤを生み出す素材。 コラーゲンが凝縮されているので肌目が細かくしなやかな美しさがあり、いつも見とれています。
「ダイヤモンド」と喩えられるのも頷けますし、その質感は一度手にとって体感して欲しいほど。
ただし、光沢感があるとはいえ“いやらしいツヤ感”ではなく、革ならではの独特な輝きなのもコードバンらしい表情です。
【特徴②】エイジングによって、ツヤに渋みが増す
こちらの写真は、僕が4年ほど愛用しているコードバン二つ折り財布。
上述で掲載したコードバンのイメージ画像と比べると、エイジングによってしなやかで深みのある光沢感に仕上がっています。 一般的な革のように色褪せるというより「ツヤに渋みが増す」ように経年変化するイメージです。
実際の肌触りは、革表面のロウがなくなりオイルを塗り込んでいるのでしっとりしています。
ちなみにこちらは、購入して半年のコードバンのパスケース。
財布と違い使って日が浅いので、表面全体が光沢感を帯びている印象です。
折り目の部分やよく手が触れる部分は特にツヤが増すので、使えば使うほど皆さんだけのコードバンに育っていきます。
【特徴③】牛革の3倍の強度があり型崩れしにくい
コードバン財布を使っていて感じるのは美しさだけでなく、硬度が高く型崩れしないということ。
4年間メイン財布として使い続けていますが、型崩れすることなく綺麗なフォルムを保っています。
そもそもコードバンは丈夫で有名な牛革の約3倍の強度があるレザー素材。 引き裂きなどに強く、まさに一生モノと言っても過言ではありません。
また経年変化によって滑らかになりますが、革独自のハリは残っています。
このように強度に優れているので、乱雑に扱われがちなランドセルなどにもコードバンレザーは使われているんですね。
コードバンを使ってわかった注意点3つ
後述からはコードバン財布や小物を実際に使って感じた注意点・デメリットをまとめました。
コードバンの弱みが下記の3つ。
- 表面のキズが目立つ
- 雨などの水に弱い
- 色褪せいくい
【注意①】革表面のキズが目立つ
コードバンは頑丈ではあるものの、傷が目立ちやすいレザーです。
革財布は尻ポケットに入れたりせずカバンの中に入れているのですが、それでも擦り傷や小さなヘコみが多く見受けられます。
オイルを塗り込むことで多少のキズは目立たなくなりますが、完全には消えません。
僕としてはこういったキズも味があり好きですが、あまりキズが好みでないようであれば「牛革」「山羊革」などがおすすめ。
牛革や山羊革は革表面にシボ(しわ)があるので、傷が目立ちにくいです。
【注意②】水や汗で「シミ・変色」を起こす
コードバンは雨などの水がつくと、シミになりやすい革です。
水に濡れたらすぐに拭き取らないと、コードバンの細かな繊維に水分が浸透してシミとして残りやすいんですね。
まだ革財布沼にハマる以前にコードバン長財布を使っていましたが、雨で濡れてもケアしなかったためにシミになった経験があります…。
さらに汗が付着すると、塩分などによって革が変色します。 そのため夏場などは、ズボンのポケットに入れるのは絶対にNG。
水に濡れたら迅速に拭き取り、夏場はカバンに入れておきましょう。
※水に濡れた際のケア方法は後述で紹介しています。
【注意③】使い続けても色褪せにくい
上述で掲載した僕が使い続けているコードバン財布を見ての通りですが、コードバンはエイジングによる色褪せが目立ちにくいように感じます。
革の色がダークブラウンなのも要因ですが、牛革のように黒く深い色合いになりにくいですね。
というよりもコードバンの魅力は、使い続けることでツヤが増すこと。
経年変化による色褪せを楽しみたいのであれば、牛革などの財布がいいでしょう。
コードバン財布の手入れ方法・磨き方
コードバン財布の日常的なお手入れは、柔らかいクロス(布)で乾拭きで吹き上げる程度で十分。
特に使い始めの時(1年未満ほど)は、クリームを使用して磨くと革表面に白いくもりがでます。 財布などの小物であれば、手の脂が染み込むので過剰にオイルを塗るのはかえってNG。
最近では革磨き用のクロスが100均でも売られているので、1つ持っておいて損はありません。
もし1年以上使用して、革の表面がカサついてきたら下記のようにメンテナンスしましょう。
手入れ方法 | 頻度 |
| 1〜2ヶ月 |
コードバンは単層構造なので、このようにシンプルなメンテナンスで十分。
クリームによっては革の染料と相性が悪いものもあるので、商品の注意書きには目を通しておきましょう。
クリームを塗ったあと、革表面に「白い膜」が出ることがあります。 これはクリームが革に染み込むのに時間がかかり残っている状態。
次第に革に浸透していくので問題ありません。
【濡れた時】コードバンに水がついた時のケア方法
もしコードバン財布が雨などで濡れた際は、下記のケアを行ってください。
- 濡れた箇所を乾拭きする
- 濡れた箇所が乾いたらオイルクリームを塗り込む
そもそもコードバンは繊維を寝かせて加工することで滑らかな質感を実現。 しかし水に濡れると寝ていた繊維が起き上がり「羽毛立った状態」になります。
この羽毛だった状態がシミとして浮き上がるんですね。
つまり水で羽毛だった繊維を再び寝かせてあげればシミは目立たなくなるということ。
濡れたからといって焦って革をゴシゴシ拭くと傷がつくだけなので、落ち着いてクリームケアをしてあげましょう。
自然と磨き上がるのがコードバン財布
コードバンはダイヤモンドと称されるだけあり、様々な瞬間に目を惹く存在。 使うごとにツヤ感が増すので、自分だけの光沢感に育てられるのも楽しみの一つです。
●コードバン財布の魅力
- 美しい光沢感と上品な表情がある
- 経年変化でツヤに渋みが増す
- 牛革の3倍の強度があり型崩れしにくい
●コードバン財布の注意点
- 革表面の傷が目立つ
- 水や汗で「シミ・変色」を起こす
- 使い続けても色褪せにくい
コードバンの長財布や二つ折り財布や型崩れせず使い続けるごとに光沢感が出るので、まさに一生モノ。
革財布を長く使い続けたいと思う方は、下記で紹介している「おすすめのコードバン財布ブランド」にも目を通してみてください。