「革のダイヤモンド」「キングオブレザー」とも称されるコードバン。私もコードバン二つ折り財布を愛用していましたが、「革のダイヤモンド」といわれるだけあり一度は手に触れてほしいレザーの一つです。
このページではコードバン財布を使うメリットだけでなく、実際に使って感じた注意点もあわせて解説。 長く付き合っていくためのコードバンの手入れ方法も紹介しているので、参考にしてください。
東京革財布
運営者
20代前半に土屋鞄製造所の革財布を購入し、革の魅力に目覚める。その後、WEBメディア事業主軸の会社に入社し、ライターからWEBディレクターまでを経験。革製品の魅力を広く伝えたいという気持ちが強くなり、2019年に独立して『東京革財布』を開設。これまで土屋鞄製造所、GANZO、CYPRIS、Hallelujah、SYRINXなど40種以上の財布・革製品を使用。豊富なレビュー経験とライタースキルを活かし、長く愛用してもらえる革製品と出会えるサイトづくりに努めている。
コードバンの原材料とは?なぜ希少?
コードバンの財布はその希少性と高品質な質感から「革のダイヤモンド」と称され、長く愛用する価値があるレザー。革製品の中でも特に高級とされる素材で「馬のお尻」の部分からのみ採取される皮革です。
コードバンとして使用できる部分は、馬全体のわずか2割程度。その中でも“農耕馬”からのみ採取されるため、非常に希少価値が高いとされています。
コードバン層が採取できるのは、馬の中でも臀部が厚く大きい農耕馬に限られています。機械化が進んだ現代では、農耕馬自体が少なくなりコードバンの希少価値が年々上がっています。
希少性だけでなく、コードバンはその滑らかで美しい質感や耐久性の高さから「革のダイヤモンド」とも称されるほどの評価を受けています。
そもそもコードバンは「コラーゲン質の繊維層」。 皮のコラーゲンが高密度に凝縮しているので、しっとりと滑らかな質感を生み出しています。
このコラーゲンの層は、農耕馬が他の動物に襲われても重症にならないために身を守る皮の層。そのため競走馬からは、コラーゲン層(コードバン)がほとんど採れないというわけです。
【他の材料との違い】革に表と裏がない
コードバンは多くの革製品とは異なり、その構造が非常にユニーク。通常の牛革や豚革は銀面(表面)と床面(裏面)の2層構造を持っていますが、コードバンはこのような表裏の区別がありません。
これは、コードバンが皮膚の中間に位置するコラーゲン層だけを精密に取り出して作られるためです。
コラーゲン層のみの“単層構造”は、財布として使用した際に型崩れや歪みを最小限に抑える特性を持っています。
筆者がコードバン財布を選んだ3つの理由・メリット
冒頭でも触れたように、僕はコードバンの二つ折り財布をメインで普段使っています。
ここからは実際に使っている僕の感想を交えて、コードバンの特徴をご紹介。 以下の3つの魅力に惹かれて、僕はコードバン財布を愛用しています。
- 美しい光沢感と上品な表情がある
- エイジングでしなやかな質感に仕上がる
- 頑丈で硬くずれしにくい
メリット①:美しい光沢感と上品な表情がある
出典:土屋鞄製造所HP
コードバンは、革製品の中でも特に高級感と独特の美しさを持つ素材として知られています。
その理由は、コードバンが持つコラーゲンの凝縮による細かくしなやかな肌目。この特性により、コードバンは他の革とは一線を画す上品でありながらも深みのあるツヤ感を放っています。
コードバンのツヤ感はただの光沢ではなく革特有の独特な輝きを持っており、それが「革のダイヤモンド」として評価される理由でしょう。
購入を検討している方には、このコードバン独特の質感を実際に手に取って体感してもらいたいです。
メリット②:エイジングによって、ツヤに渋みが増す
こちらの写真は、僕が4年ほど愛用しているコードバン二つ折り財布。上述で掲載したコードバンのイメージ画像と比べると、エイジングによってしなやかで深みのある光沢感に仕上がっています。
一般的な革のように色褪せるというより「ツヤに渋みが増す」ように経年変化するイメージです。
ちなみにこちらは、購入して半年のコードバンのパスケース。
財布と違い使って日が浅いので、表面全体が光沢感を帯びている印象です。
折り目の部分やよく手が触れる部分は特にツヤが増すので、使えば使うほど皆さんだけのコードバンに育っていきます。
メリット③:牛革の3倍の強度があり型崩れしにくい
コードバンはその美しい外見だけでなく、驚異的な耐久性で知られる高級レザー素材。
私自身も4年間このコードバンの財布を使用してきましたが、その間、型崩れすることなく美しいフォルムを維持し続けています。
これは、コードバンが牛革の約3倍の強度を持っているから。
農耕馬が外敵から噛みつかれた時に重傷にならないように身に付けた臀部内側(革の表面と裏面のちょうど中間くらい1mm~1.5mm)にあるコラーゲン繊維の塊で、引き裂きや押し込みに対しての強度は、牛革の3倍を誇ります。
コードバンは摩耗に対しても非常に優れており、長期間使用してもその美しさを保ち続けることができます。
さらに、時間と共にコードバンはさらに滑らかな質感になりますが、その独特のハリや質感は失われません。この耐久性と美しさから、コードバンはランドセルなどのアイテムにも使用されるほどです。
コードバンの財布を使ってわかった3つのデメリット
次にコードバン財布や小物を実際に使って感じた注意点・デメリットをまとめました。
- 表面のキズが目立つ
- 雨などの水に弱い
- 色褪せいくい
デメリット①:革表面のキズが目立つ
コードバンは、傷が目立ちやすいという特性も持っています。
たとえば、カバンの中での摩擦や小物との接触による擦り傷など、日常的な使用での小さなダメージが目立つことがあります。
一部のオイルやケアクリームを使用することで傷を目立たなくすることは可能ですが、完全に消すことは難しいです。
しかし、このような傷や使用感もコードバンの魅力の一部。経年変化を楽しむことができるのも、このレザーの特徴の一つです。
デメリット②:水や汗で「シミ・変色」を起こす
コードバンは、水や湿気には非常に敏感。水滴や汗が付着すると、その部分がシミとして残るリスクがあります。
コードバンは繊維構造が細かく密集しているため水分を吸収しやすく、一度シミになると完全に取り除くのが難しいです。
また、夏場の汗などで塩分が付着すると、それが原因で革が変色することも。このようなリスクを避けるためにも以下の点を意識してコードバン財布を使いましょう。
- 雨や汗を感じた際は速やかに拭き取る
- 夏場など汗をかきやすい時期には直接肌に触れる場所に保管するのではなく、カバンの中など安全な場所に収納する
デメリット③:使い続けても色味の変化が少ない
コードバンの財布はその持続的な色の安定性と経年変化による増すツヤが魅力的であり、色味の変化を楽しみたい方には他の革種がおすすめです。
とはいえ、コードバンの真の魅力は、使い続けることで得られる独特のツヤと質感。このツヤは、日常の使用や手の皮脂などが革に浸透することで増していき、経年変化としての美しさを引き出します。
味わい深い経年変化を楽しみたい方は、経年変化が顕著な牛革の財布がおすすめです。
コードバン財布の手入れ方法・磨き方
コードバン財布の日常的なお手入れは、柔らかいクロス(布)で乾拭きで吹き上げる程度で十分。特に使い始めの時(1年未満ほど)は、クリームを使用して磨くと革表面に白いくもりがでます。
財布などの小物であれば、手の脂が染み込むので過剰にオイルを塗るのはかえってNG。最近では革磨き用のクロスが100均でも売られているので、1つ持っておいて損はありません。
もし1年以上使用して、革の表面がカサついてきたら下記のようにメンテナンスしましょう。
手入れ方法 | 頻度 |
---|---|
| 1〜2ヶ月 |
コードバンは単層構造なので、このようにシンプルなメンテナンスで十分。クリームによっては革の染料と相性が悪いものもあるので、商品の注意書きには目を通しておきましょう。
クリームを塗ったあと、革表面に「白い膜」が出ることがあります。 これはクリームが革に染み込むのに時間がかかり残っている状態。次第に革に浸透していくので問題ありません。
【濡れた時】コードバンに水がついた時のケア方法
もしコードバン財布が雨などで濡れた際は、下記のケアを行ってください。
- 濡れた箇所を乾拭きする
- 濡れた箇所が乾いたらオイルクリームを塗り込む
そもそもコードバンは繊維を寝かせて加工することで滑らかな質感を実現。 しかし水に濡れると寝ていた繊維が起き上がり「羽毛立った状態」になります。
この羽毛だった状態がシミとして浮き上がるんですね。つまり、水で羽毛だった繊維を再び寝かせてあげればシミは目立たなくなるということです。
濡れたからといって焦って革をゴシゴシ拭くと傷がつくだけなので、落ち着いてクリームケアをしてあげましょう。
まとめ:自然と磨き上がるのがコードバン財布
コードバンはダイヤモンドと称されるだけあり、様々な瞬間に目を惹く存在。 使うごとにツヤ感が増すので、自分だけの光沢感に育てられるのも楽しみの一つです。
コードバン財布のメリット
- 美しい光沢感と上品な表情がある
- 経年変化でツヤに渋みが増す
- 牛革の3倍の強度があり型崩れしにくい
コードバン財布のデメリット
- 革表面の傷が目立つ
- 水や汗で「シミ・変色」を起こす
- 使い続けても色褪せにくい
コードバンの長財布や二つ折り財布は型崩れせず使い続けるごとに光沢感が出るので、まさに一生モノと言えます。