財布やバッグなどのポピュラーな素材の一つ「本革」。本革とは「動物の皮」を加工した天然素材です。
そんな本革にもいくつか種類があったり、合皮と間違われたり。
「本革のこと、詳しく知らないかも」という方のために、本記事では本革の種類や合皮との違い、特徴を一挙解説していきます。
財布やバッグの素材の違いを知って、あなたの希望に沿った物選びをしていきましょう。
東京革財布
運営者
20代前半に土屋鞄製造所の革財布を購入し、革の魅力に目覚める。その後、WEBメディア事業主軸の会社に入社し、ライターからWEBディレクターまでを経験。革製品の魅力を広く伝えたいという気持ちが強くなり、2019年に独立して『東京革財布』を開設。これまで土屋鞄製造所、GANZO、CYPRIS、Hallelujah、SYRINXなど40種以上の財布・革製品を使用。豊富なレビュー経験とライタースキルを活かし、長く愛用してもらえる革製品と出会えるサイトづくりに努めている。
本革とは?日本での歴史は古墳時代まで遡る
冒頭でお伝えした通り、財布やバッグにつかわれる本革とは動物の皮を加工した素材。天然の素材なので、天然皮革(天然レザー)とも呼ばれます。
起毛した「スエード」も本革。革の繊維を立たせて、フワフワした手触りにしています。
動物からしか採取できないので、本革をつかった製品は高価なものが多いんですね。
そんな本革の歴史は古く、古代ギリシャやローマの時代にまで遡ります。
日本では4世紀ごろ(古墳時代)から本革の製造方法が広まり、日常的につかわれる素材に。
江戸時代以降にはレザーの製造技術が確立され、今のように牛革を製品化できるようになりました。
「皮」と「革」の違い
みなさんは「皮」と「革」は、別物ということをご存知でしょうか。
- 【皮】動物から採取した“直後”のもの
- 【革】動物の皮を製品につかえるように“加工した後”のもの
このように動物から採取したものを「皮」、製品に使える状態にしたものを「革」と呼ぶんです。
動物から皮を採取してそのままにしておくと、人間と同じように腐ってしまいます。
そのため特殊な液につけて、腐敗しないように皮を加工するんですね。
レザーの加工方法の中には1000年以上つづく製法もあり、伝統技法が今日まで受け継がれています。
本革と牛革の違い
牛革も本革の種類の一つ。本革は動物の皮を加工した素材なので、牛革も天然素材の本革となります。
革製品の素材は「牛革」と記載されていることが多く、この場合は本革を使った革製品と判断できます。
特に牛革は皮の繊維の密度が高く厚みもあるため、丈夫で長持ちなのが特徴です。
本革の種類はたくさん!牛革や豚革だけじゃない
本革の種類はざっと13種類もあり、実にたくさんのレザーが製品に使われています。
- 牛革(カウレザー)
- 馬革(コードバン)
- 豚革(ピッグスキン)
- 山羊革(ゴートスキン)
- 羊革(シープスキン)
- ワニ革(クロコダイル)
- 蛇革(パイソンレザー)
- 鹿革(ディアスキン)
- 鮫革(シャークスキン)
- 象革(エレファントレザー)
- エイ革(スティングレイ)
- カンガルー革
- ダチョウ革(オーストリッチ)
本革というと、牛や豚がメジャー。しかしシカやサメ、エイなどの皮も本革として応用されています。
さらに革の種類によって《手触り・柔らかさ・耐久性》などはバラバラ。
経年変化の具合も異なるので、革の種類を知っておくと自分にマッチする製品を選べます。
本革の種類のくわしい特徴は下記ページで解説しているので参考にしてください。
最近では植物由来の素材などを使った“ヴィーガンレザー”も登場しています。
「合皮」は本革じゃない!それぞれの違いを一覧比較
本革と間違われやすいのが“合皮素材”。
「皮とついてるから本革の一種?」と思われがちですが、合皮は本革ではありません。
合皮とは合成樹脂をつかって本革に似せたもの。一言でいうなら「ニセモノの革」です。
合皮と本革のおもな違いがこちら。
本革 | 合皮 | |
---|---|---|
素材 | 天然の動物の皮 | 繊維生地に樹脂層をコーティングしたもの |
価格 | 高い | 安い |
耐久性 | 丈夫で破けにくい | 耐久性は低く破けたり剥がれたりする |
耐水性 | 弱い | 強い |
重さ | 重い | 軽い |
寿命 | メンテナンス次第で約10年 | 約2〜3年 |
経年変化 | 色合いやツヤなどの変化を楽しめる | 天然皮ではないので経年変化はない |
高級感 | 光沢やシワ感に上品さがある | 光沢感などに安っぽさが出やすい |
それぞれに良いところ・悪いところがありますが、「長く使う」なら天然素材の本革一択。
合皮は表面が剥がれたり破けたりしやすく、傷みやすい素材です。
見分け方やそれぞれのメリット・デメリットなどの詳細は、下記ページで解説しています。
本革の4つの特徴《メリット・デメリット別に解説》
動物の皮をつかった素材「本革」の4つの特徴がこちら。
- 【メリット】丈夫で長持ちだから10年は使える
- 【メリット】経年変化で味わい深い表情になる
- 【デメリット】水に弱くシミができることもある
- 【デメリット】革のランクによっては革製品が高い
【メリット】丈夫で長持ちだから10年は使える
本革の最大の特徴は、なんといっても丈夫で長持ちなこと。
専用クリームなどで手入れしてあげれば10年はにつかえます。
合皮と違い本革は繊維がギュッと凝縮されているので、メンテナンス次第で破れたり剥げたりしないんですね。
その耐久性が買われ、本革は野球のグローブ・馬具・靴などにも使われています。
昔は鎧の素材にも使われていたんですよ。
数千円の合皮アイテムを何回も買い換えるくらいなら、本革製品を長くつかう方がコスパに優れています。
【メリット】経年変化で味わい深い表情になる
本革の特徴のもう一つが経年変化を楽しめること。
ヒトも歳をとると、肌色が変わったりシミ・シワが増えたりしますよね。
本革もおなじように、使い込むことで味わい深い表情に変わっていくんです。
左が使用前。右が経年変化後の様子
出典:土屋鞄製造所
上記写真のように、使い込んだ革財布は色が濃くなり独特のグラデーションが表れています。
この革の経年変化の表情は持ち主によって違います。
本革アイテムあなただけの経年変化を楽しめる、まさに「大人の楽しみ」。
革製品を手にすれば「革が育ってきたな」と、今まで味わえなかった素材の魅力を発見できます。
【デメリット】水に弱くシミができることがある
本革は水に弱いのがネック。
革表面に水がつくと繊維に染み込んで、シミや水ぶくれを起こします。
これは革の内部にある油分が水分によって浮き上がってくるからです。
そのため雨の日なんかは、革製品を使うのに気を配らないといけません。
とはいえ防水スプレーを使ったりクリームケアを適度にしたりすれば、シミ予防できます。
さらにシミができても後から落とせるので、「絶対濡らしたらダメ!」というわけではないので安心してください。
【デメリット】革のランクによっては革製品が高い
はじめにも触れましたが、本革は動物の革なので数に限りがあります。
そのため合皮素材よりも本革をつかった製品は値段が高いです。
さらに本革にも、
- 稀少な動物
- 動物の部位ごとのランク
によって値段の幅が広くなっているんですね。
たとえば革財布。
牛革なら1万円前後でも手に入りますが、ワニ革だと20万円〜30万円になることもあります。
合皮の財布だと2,000円〜3,000円で購入できるので、抵抗があるでしょう。
しかし、最近ではリーズナブルな本革製品も増えてきているんです。
当サイトでは、《1万円以下〜1万円台の安い革財布》をピックアップした記事があります。
お得に本革の財布に買い替えたい、と考えている方は一読してみてください。
まとめ:合皮と間違えないように本革製品を選ぶ
本革は動物の皮を原材料にした素材で、丈夫で長持ちしやすいです。
しかし技術が高まったことで、最近では本革によく似た合皮もたくさん出回っています。
素材にこだわるなら、天然素材の本革が断然おすすめ。
原材料名に「合皮」と書いていないかチェックして、正しく素材選びをしていきましょう。